2012年6月17日日曜日

スコットランドでアフリカ学会

お久しぶりです、NESTスタッフのヤマザキです。


以前の自己紹介でちらっと書きましたが、私は現在エジンバラ大学に留学しています。大学のプログラム自体は5月で終了したのですが、本所属の大学が夏休みである間はまだスコットランドに残ることにしています。


その間に得られるものたるや、とてもたくさん。とくに、Centre of African Studies(CAS)という研究科はヨーロッパ内でも非常にレベルの高いアフリカ地域研究機関なので、そこに出入りする研究者や学生と話すだけでも大きな刺激を受けることができます。


タンザニアのジュリウス・ニエレレ元大統領(1922-1999)の名前をご存知でしょうか。アフリカにおける「平等」を追求し、タンザニアの社会主義化を進めた初代大統領です。教育分野では、教授言語としてスワヒリ語を小学校から導入したことでも知られています。このニエレレはウガンダのマケレレ大学で学んだ後、エジンバラ大学へも留学しました。アフリカ地域とエジンバラ大学との結びつきを語るうえで欠かせない人物です。


その歴史あるCASが今月創立50周年を迎え、3日間にわたってAfrican Conferenceを開催しました。良い機会だったので、ボランティアとして参加させていただきました。カンファレンス(学会・会議)は、大きく分けて3つの柱がありました。一つは、Key note speech(基調講演)。二つ目は分科会。ここで、多くの研究者が最新の研究を発表し、お互いに意見を交換します。そして三つ目は懇親会。分科会の合間にあるCoffee breakや、2日目の夜に開かれる晩餐会で、さらに研究者同士の親睦を深めます。


分科会はDevelopment, Smuggling(密輸), Borderland(国境問題)など9つのテーマがあり、それぞれのテーマに4-5人の発表者がいました。それが3日間だったので、発表される研究は多岐にわたりました。この大テーマの中にはウガンダ地域に焦点をあてたものもあったのですが、残念なことにそちらは聴くことができませんでした。代わりに、教育分科会は参加してきました。そのときの発表題目はこちらです:


African Education, Training and Development in Historical Perspective
 - Education and Skills in Africa: Reviewing the post-colonial experience
 - Education and Intergenerational Poverty: New approaches beyond 2015
 - Owning the Policy; The appropriation of language-in-education policy in African communities

Learning for All in Eastern Africa?
 - Quality and Equality: The forgotten goals of Education for All
 - The impact of Primary Schooling on a Maasai Woman in Kenya: Tensions between modernity and tradition
 - Five Decades of Primary Education Development in Tanzania: Achievements, challenges and the future


2015年は、国際開発分野の課題解決を目標とする活動の一つの区切りの年です。このときに、開発がどの程度進んだのか、ということが評価されることになります。ただ、この年を迎えたとしても課題が残されることは明確です。その際に、国際社会はどうするべきかということが議論されました。

もちろん簡単に答えが出るものではありませんが、この議論の中では、こうした国際指標が議論される一方で見落とされがちな「現場で何が起きているのか、何が機能しているのか」という視点を重視すべきだということが注目されました。一見当然かもしれませんが、広大なアフリカ地域でミクロな研究を行うのは簡単なことではないでしょう。それでも、大きな国際指標の未達成を目の前にして、その重要性が再認識されたのでした。

NESTも小さな動きではありますが、奨学生とのやり取りから、学ぶ喜びや日常生活のちょっとした心配事などを知ることができます。「国際協力」という名でくくると見えにくくなってしまう部分もきちんと考えていきたいと思っています。



yamazaki


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